m3.com臨床ダイジェスト―小学性オルソ増加「大問題」(2014年4月17日)
日本眼科医会の学校保健部は4月15日、全国の小、中、高校生を対象にコンタクトレンズ(CL)使用状況を調査した結果を報告した。47都道府県ごとに調査校を選出し、総計9万7233人のうちCLを使用している小学生54人、中学生1877人、高校生1万1484人に対し、2012年9-10月にアンケートを実施した。医会は2000年から3年おきに同様の調査を継続して実施しており、今回は5回目の報告となる。
今回の調査で注目すべきは、小学生のオルソケラトロジー(以下、オルソ)の使用率が調査ごとに増加していることだ。2006年の使用率は14.3%だったが、2009年は18.9%と増加し、今回の2012年調査では20.4%に上っており、学校保健部は「大問題」と指摘している。中学生でのオルソ使用率は0.4%、高校生が0.3%であり、小学生に飛び抜けて多い状況となっている。このような現状の背景には、処方する眼科専門医をはじめ、眼鏡をかけさせたくない保護者や、スポーツのコーチなどからの勧めといった、安全性を考慮しない大人たちの存在があると指摘している。
学校保健部は、オルソ使用で夜間視力の低下や高次収差の増加、アカントアメーバ角膜炎なども報告されているため、視機能未成熟な小児への使用は避けた方がよいと説明。日本コンタクトレンズ学会は2009年に「オルソの適応は20歳以上」との指針を出しており、「医師の裁量で処方は可能だが、もし眼障害が生じ、訴訟された場合は非常に不利になる」と警告を発している。
当報告書では他にも、おしゃれ用カラーCLの使用経験や、使い捨てソフト使用期限の遵守状況、CLの購入方法、定期検査の受診状況、眼の異常の発生率や対処法など、CLにまつわる様々な項目を調査している。