コンタクトレンズ診療について

コンタクトレンズは視力補正の医療機器として厚生省(現在の厚生労働省)から認可されており、コンタクトレンズを入手するには眼科医の診察が必要です。

また、コンタクトレンズの使用にあたっては、眼科医の管理と指導を必要とします。

コンタクトレンズ自体は目にとって異物であるため、適切なコンタクトレンズを選択し、規則正しいケアを行わないと何らかの障害が起こることがあります。自分では調子が良いと思っていても、診察すると問題があることがありますので定期検査を必ず受けて下さい。もしトラブルが発生した場合にはできるだけ早く受診して下さい。

ハード・ソフトコンタクトレンズ

コンタクトレンズは素材の違いからハードコンタクトレンズとソフトコンタクトレンズに分けられます。ハードコンタクトレンズは文字通り硬いため装用当初は違和感があります。ソフトコンタクトレンズは軟らかいので装用感が良いです。ハードコンタクトレンズはソフトコンタクトレンズよりも矯正効果が高く、耐久性に優れており寿命が長いですが、ずれやすく外れやすいので激しいスポーツをする人には向きません。

ソフトコンタクトレンズはタンパク質などの涙の成分や汚れが付きやすく、細菌やカビなどの微生物が繁殖することがあるため、洗浄と消毒が必要です。ソフトコンタクトレンズのこのようなデメリットを補うために、短期間の使用で新しいレンズと交換するタイプのものが、現在広く使用されています。

ハードコンタクトレンズには酸素を透過しないレンズと酸素を透過するレンズがありますが、目に対する安全性から酸素を透過するレンズが主として処方されます。一方、ソフトコンタクトレンズはこれまでの含水性素材にシリコーンを加えた新しい素材のレンズ(シリコーンハイドロゲルレンズ)が加わりました。このレンズの酸素透過性は従来素材の数倍です。

ソフトコンタクトレンズは装用スケジュールから、レンズが使えなくなるまで使う従来型、1ヵ月または3ヵ月の期間で定期的に交換する定期交換型、最長2週間を限度に交換する頻回交換型、一度目に装用したら再使用しないディスポーザブル型(1日タイプ、1週間タイプ)の4つに分けられます。

コンタクトレンズ使用法

使用方法については、朝コンタクトレンズを入れて夜はずす終日装用という使い方と、レンズを24時間以上入れたままにする連続装用という使い方があります。
ほとんどすべてのタイプのレンズが終日装用ですが、酸素透過性の高いハードコンタクトレンズや含水率の高い従来型ソフトコンタクトレンズ、ディスポーザブルソフトコンタクトレンズ、頻回交換型コンタクトレンズの中には連続装用できるものがあります。連続装用は目が覚めたときから物が見え、入れたりはずしたりする手間とレンズケアをしなくても良いというメリットがありますが、いろいろと問題があります。黒目(角膜)は十分な酸素を必要とし、空気中から多くの酸素を取り入れています。ところが、黒目(角膜)にコンタクトレンズを乗せると、コンタクトレンズは100%酸素を透過するわけではないので、取り込まれる酸素の量は減少します。
コンタクトレンズが連続装用できるようになったのは、酸素を十分に透過する材質のコンタクトレンズが開発されたからですが、残念ながらまったくトラブルなく連続装用できるほどの材質ではありません。十分に注意しながら使用しないと酸素不足による目の障害を生じます。また、酸素不足の問題だけでなく、レンズが汚れてくることも問題です。目の中は、口や鼻、耳の中と同じようにいろいろな分泌物が出るため、目の中に入れたレンズは汚れてきます。さらに、外からのゴミなどもレンズに付着します。下着や靴下を何日間も変えずに使用するのと同じで、入れっぱなしは不潔です。汚れたコンタクトレンズを使用するといろいろな目の障害が起こります。レンズを清潔に保つためにもレンズは毎日外してきれいにケアした方が良いでしょう。さらに、コンタクトレンズを長時間装用すると、目が乾いたり、角膜の形状が変化することがあります。目の安全性を考えると連続装用はすすめられません。その他に必要時のみ使用する方法がありますが、これには使い捨てソフトコンタクトレンズがあります。

使い捨て・頻回交換ソフトコンタクトレンズの特徴

こうした従来型のソフトコンタクトレンズの問題点を解決する方法として、ディスポーザブルソフトコンタクトレンズ,頻回交換型コンタクトレンズが開発されました。短期間でレンズを交換するため、レンズの汚れ・変形が少ない、すなわちいつもきれいなレンズを使用するので眼障害が少ない、装用感が良い、良く見えるというメリットがあります。また、ディスポーザブルソフトコンタクトレンズの場合はケアがまったく不要ですし、頻回交換型コンタクトレンズも従来型のソフトコンタクトレンズに比べるとケアが簡単です。さらに、数枚セットで購入するため、最後の1枚になるまではスペアのレンズが手元にあります。
たとえばレンズを紛失したとか傷がついたなどの場合には、すぐにスペアのレンズを使用できます。また、定期的にレンズがなくなるわけですから、レンズの購入を目的として定期的に眼科を受診しなければなりません。そのつど検査を行って、適切な度数のレンズが手に入ります。
そして、目の状態を診察してもらうわけですから、自分では気づいていなかったような眼障害が見つかることもあります。
早期発見ができれば早期治療が行われ、障害が重篤化しないというメリットもあります。さらに、旅行やスポーツなど必要時のみ使用するといった人にも便利です。ただし、1枚のレンズ代は安いのですが、年間計算すると高額になります。ところで、こうしたレンズはとても安全だと思っている人もいますが、やはり異物ですので決められた通りに使用しないと眼障害が起こります。

乱視矯正用のコンタクトレンズ

強い乱視のため、通常のハードコンタクトレンズやソフトコンタクトレンズを使用しても満足のいく視力が得られない場合や、コンタクトレンズがうまく目にフィットしない場合は、乱視矯正用のレンズ(トーリックレンズ)を使用します。
トーリックレンズにはそれぞれハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズがありますが、通常のレンズに比べて処方が煩雑で、合わせるのに時間がかかります。トーリックレンズは乱視の軸や度がレンズを使っているうちに変わったりすることもありますので、レンズが落ち着くまで何回か受診してもらうことがあります。また、特殊なレンズのため値段が高く、注文して納品されるまでに日数がかかる製品もあります。

遠近両用のコンタクトレンズ

遠くは見えるのに近くが見えなくなった状態を老眼といいます。
メガネの場合は遠く用と近く用のメガネを別々にかけ分けるか、遠近両用のメガネをかけます。コンタクトレンズの場合も遠近両用のコンタクトレンズがありますが、メガネのようにはっきりと遠くも近くも見えるようにはなりません。いくぶんぼやけた状態になります。それで日常生活に問題がなければ良いのですが、困るようであれば他の方法を考えます。
もっとも簡単な方法は、両眼とも遠方用にコンタクトレンズの度を合わせ、近くを見るときのみコンタクトレンズの上から老眼鏡をかけます。
コンタクトレンズの上からメガネをかけるのを好まない場合には、片方の目のコンタクトレンズを遠方に合わせ、他方の目のコンタクトレンズの度を中間距離から近方に合わせます。この場合、個人差がありますが、慣れを必要とします。
また、人によっては目が疲れるといわれる方もおられます。どういう方法をとるかは眼科医とよく相談して下さい。

コンタクトレンズが向かない人

すべての人がコンタクトレンズを使用できるわけではありません。目に病気(結膜炎・角膜炎など)がある人や、涙の分泌量の少ない人などにはコンタクトレンズの使用が難しいことがあります。
コンタクトレンズは着脱や洗浄、消毒などの手入れをしなければなりませんので、不精な人、手指や爪を清潔にできない人には適しません。
また、指示された正しい使用のできない人には危険です。神経質な方で、どうしてもコンタクトレンズを目に入れられない方も不向きです。

コンタクトレンズの選択

良好な視力が得られ、異物感が少なく、安全であり、安くて耐久性に優れたレンズで、ケアが簡単でケア用品が安いことが理想です。実際には患者さんからお聞きした内容(見え方,職業,レンズケア,経済性など)から、なるべくご要望のレンズを選びたいと思いますが、目の状態が最優先されます。
たとえば、検査して強度の乱視や不正乱視がわかった方は、使い捨てソフトコンタクトレンズを希望されても十分な視力が得られませんので、ハードコンタクトレンズや乱視矯正用のソフトコンタクトレンズをおすすめします。
また、アレルギー性結膜炎のある方は、従来型のソフトコンタクトレンズよりも使い捨てのソフトコンタクトレンズや頻回交換型のソフトコンタクトレンズあるいはハードコンタクトレンズが適します。

コンタクトレンズの処方

コンタクトレンズの処方は、まずハードコンタクトレンズにするかソフトコンタクトレンズにするかを決めて、さらにレンズの材質を決めます。
ハードコンタクトレンズであれば酸素透過性の程度、ソフトコンタクトレンズでは水分を含む量が材質によって違いますから、どのような材質のレンズにするかを決めなければなりません。
そして、レンズの厚みなどを考え、それぞれの方の目にあったレンズの規格、具体的にはレンズのサイズや内面のカーブ、周辺部のデザインなどを決定します。さらに適切なレンズケアを選び、患者に指導します。
このようにコンタクトレンズの処方は単純なものではなく、眼科専門医による処方が必要です。

コンタクトレンズ関係資料

おしゃれ用コンタクトレンズの使用について

平成17年4月1日に改正薬事法が施行され、コンタクトレンズ(以下CL)は副作用又は機能の障害が生じた場合(適正な使用目的に従い適正に使用された場合に限る)において人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあることから、その適切な管理が必要とされる高度管理医療機器に指定されました。

一般的に使用されるCLは近視、遠視、乱視、老視などを補正することを目的としている高度管理医療機器です。

一方、美容を目的とした度数の入っていないカラーCL(いわゆるおしゃれ用カラーCL)がありますが、これは高度管理医療機器ではありません。こうしたおしゃれ用カラーCLにはさまざまな問題があるので、使用にあたっては正しい情報を理解しておくことが大切です。

●カラーCLの種類
日本で販売されているカラーCLには、視力補正を目的とした(高度管理医療機器として厚生労働省の承認を受けている)ものと、視力補正を目的としていない度数の入っていないもの(医療機器の承認を受けていないもの)があります。ただし、度数の入っていないカラーCLでも遠視用から近視用と度数が続く場合に、度数の1つとして高度管理医療機器の承認を受けているものがあります。

●カラーCLの見え方への影響
カラーCLの問題点として、視力の低下に加えて視野や色覚に影響を及ぼすことがあります。実際にカラーCLを装用すると「色がかかって見えにくい」「色が気になる」と訴える人がいます。とくに装用直後は「薄い色のサングラスをかけたようだ」という人も多いです。暗い所では瞳孔が開くので、カラーCLの着色部分が瞳孔の一部を覆って、見え方が悪くなることがあります。まぶしさを感じることもあるので、夜間のドライブには気を付けましょう。

●カラーCLによる眼障害
透明なCLに比べて着色されたCLは汚れが確認しにくいため、ケアが不十分になりがちです。これに伴ってアレルギー性結膜炎などが生じます。おしゃれを目的としてカラーCLの使用を希望する人は認められた使用方法やケアをしていない人が多いようです。こうした不適切な使用による眼障害が増加しています。写真は当院で経験したカラーCLによる黒目(角膜)の障害です。黒目の中央よりやや上方に小さな白い円形の濁りがあります(診断名は角膜浸潤です)。

●おしゃれ用カラーCLの法規制
パロマ工業製ガス瞬間湯沸かし器による一酸化炭素中毒死傷事故や家庭用シュレッダーによる幼児手指切断事故などを受けて、消費生活用製品安全法が改正され、平成19年5月14日に施行されました。
改正消費生活用製品安全法では、製造・輸入業者は重大製品事故が生じた際は経済産業大臣に報告する義務があり、小売販売業者などが重大製品事故を把握した場合は製造・輸入事業者に報告するよう努めることとされています。また、製造・輸入事業者が事故原因を調査、回収などの措置をとり、販売事業者もこの措置に協力して再発防止に努めるよう求めています。経済産業大臣は報告を受けた場合、重大製品事故に関わる消費生活用製品の名称、事故内容などを公表します。
おしゃれ用カラーCLによる眼障害はこの法律が適用されることとなり、経済産業省の管轄になりました。経済産業省は「おしゃれ用カラーCLの事故は目を傷めるなどの人体に被害が及ぶものであることなどにかんがみ、重大製品事故の報告があった場合には、経済産業省から厚生労働省に通知し、事故の再発及び未然防止のため、両省が共同して適切に対応していく」としています。
 
●カラーCLの安全性
独立行政法人国民生活センターが平成18年2月3日におしゃれ用カラーレンズの安全性についての情報を提供しました。日本で購入する(個人輸入を含む)ことのできる度なしおしゃれ用カラーレンズで、高度管理医療機器の承認を受けていない青系4製品、茶系4製品、その他2製品と、高度管理医療機器の承認を受けているカラーレンズ2製品の合計12製品を対象として細胞毒性試験を行った(レンズに細胞を直接接触させて1週間後に正常に増殖しているかを調べた)ところ、全く問題がなかったのは3製品のみでした。問題のあった残り9製品について、レンズ抽出液原液を用いて同様な細胞毒性試験を行ったところ、2製品には眼粘膜刺激が認められると判断されました。これらの12製品に対して行った色素の溶出に関する試験では、4製品に色素の溶出を認め、金属元素(チタン、アルミニウム)の溶出を認めたものもありました。細胞毒性試験で問題のあった2製品は色素の溶出が確認されており、品質上の問題が指摘されました。なお、日本で承認を受けている2製品については色素の溶出は認めませんでした。

●カラーCLとMRI検査
平成18年7月7日に、独立行政法人国立病院機構関東信越ブロック事務所統括部医療課放射線専門職から各施設診療放射線技師長宛てに「MRI検査時におけるコンタクトレンズの危険性について」という事務連絡がありました。その内容は、カラーCLの中には酸化鉄や酸化チタンなどの金属を含むものがあり、装用したままMRI検査を受けると発熱による角膜や眼球への障害の可能性があるという情報を受けて、MRI検査時にはカラーCLに限らずすべての使用者はCLをはずして検査を行うことにより危険性を回避し、患者に安全な検査を提供する体制をとることが必要であるというものでした(全国国立病院療養所放射線技師会のホームページhttp://www.nhort.jp/に掲載)。
その後、日本コンタクトレンズ協会が日本画像医療システム工業会(JIRA)とでカラーCLとMRI装置の相互作用の検証を行なったところ、すべての使用者がMRI検査時にCLをはずすのではなく、あくまで酸化鉄(磁性体)を有する色素を使用したカラーCLを装用している使用者のみがレンズをはずして検査を受けるよう、JIRAとしても周知徹底していくことが確認されました。
市販されている各社の酸化鉄を有する視力補正用カラーCLは既に添付文書等にその旨の注意喚起がなされていますが、その他のおしゃれ用カラーレンズは雑品として取り扱われているため、添付文書がないまま販売されているのが現状です。
この状況に対して、行政当局が新たな規制をもって迅速に対応することが望まれますが、MRI検査を受ける時にはカラーCLをはずして受けるようにしましょう。

円錐角膜に対するコンタクトレンズ処方

円錐角膜は黒目(角膜)の中央の近くが円錐状に突出する疾患ですが、進行するとメガネでは良好な視力が得られません。これは不正乱視によるものですが、ハードコンタクトレンズを装用するとその不正乱視が矯正されます。しかしながら、不正な形の角膜にハードコンタクトレンズを乗せるのは簡単ではありません。適正なものを装用しないとハードコンタクトレンズがずれたり、脱落してしまいます。また、目がゴロゴロする、痛い、充血するといった症状も起こり、長時間装用することができないこともあります。

円錐角膜にハードコンタクトレンズを処方するには、多くの知識と技術、豊富な経験を必要とします。
当院の院長はこれまでにハードコンタクトレンズが装用困難といわれてきた患者に対しても、考えうる最善の方法でコンタクトレンズの処方を行っています。山口県下関市内の患者さんはもちろんのこと、山口県の市外の患者さんや、福岡県、長崎県、大分県、宮崎県、広島県、愛媛県など遠方の患者さんも数多く来院されています。

円錐角膜が軽度から中等度の場合では通常のハードコンタクトレンズを修正、加工することによって対応することが多いですが、熟練した技術が求められます。中等度から高度になると、特殊な円錐角膜用ハードコンタクトレンズで対応します。特殊なレンズとしては㈱日本コンタクトレンズのローズK™、ローズK2™、㈱サンコンタクトレンズのMカーブ、㈱メニコンのEX E-1、エイコーのAphex KCレンズ、㈱レインボーオプチカル研究所の後面多段階カーブなどを使用しています。これらの特殊レンズがいつでも処方できる状況です。

円錐角膜に対するハードコンタクトレンズの処方は難しく、決定するまでに何回も医療機関を受診しなければならないことが多いですが、当院では1回の検査で処方が決定することが多いです。