女性がコンタクトレンズの定期検査に来られました。診察をすると両眼のコンタクトレンズに化粧品(マスカラ)が付着していました(写真)。患者さんにこのことを説明すると、ご本人も気づいていて、ケア用品でこすり洗いをしても取れなかったと言われました。

右目
左目

使用しているコンタクトレンズはシリコーンハイドロゲルレンズ(ジョンソン・エンド・ジョンソン社のアキュビューアドバンス)でした。シリコーンハイドロゲルレンズは酸素透過性が高いというメリットがありますが、脂質(油)が付着しやすいのがデメリットです。

ジョンソン・エンド・ジョンソン社のシリコーンハイドロゲルレンズ(アキュビューアドバンス,アキュビューオアシス)は表面処理がされていないので、他社の製品に比べてその傾向が高いといえます。シリコーンハイドロゲルレンズはケアが必要で、多目的用剤(マルチパーパスソリューション)という一剤で洗浄・すすぎ・消毒・保存をする製品、あるいは過酸化水素消毒剤という中和の操作を必要とする製品を使用されている方が多いと思いますが、これらの製品では化粧品などの脂質(油)はなかなか取れません。この患者さんはボシュロム社のレニューというケア用品(多目的用剤)を使用していました。当院のスタッフがソフトコンタクトレンズ用の洗浄剤(チバビジョン社のミラフロー)でこすり洗いをしたところ、化粧品(マスカラ)は取れました。

患者さんには、ミラフローを多目的用剤に追加して使う、あるいはアキュビューアドバンスを他社の製品に変更するかを検討していただくよう説明しました。

 山口新聞(2009年9月28日)に「目元の化粧には注意を コンタクト汚染の原因にも」という記事が掲載されていました。
 まつげの内側へのメークは控えるとともに、クレンジング剤を使う際は直接まぶたになじませるより、コットンや綿棒でこすり取るように丁寧に落とす方が良いとしています。

一方、コンタクトレンズの汚染経路は、下記にに大別されます。

1.涙に溶け出した化粧品やクレンジング剤の成分が付く
2.化粧の際に誤って付着させる
3.化粧品などが手に付いた状態でレンズを扱う
4.化粧を落とす際に結膜のうに入る