鼻涙管狭窄症・鼻涙管閉塞症

泣くと鼻水が出たり、目薬をさした後にのどが苦くなったりしたことを経験した方も多いと思いますが、目と鼻やのどは管(くだ)でつながっています。上下のまぶたの内側に涙点という小さな穴がありますが、そこから涙小管、涙のう、鼻涙管を経て鼻につながっています。

この鼻涙管が狭くなったり閉じたりすると、涙が目にたくさん溜まります。涙が目の外に流れる、涙目になると訴えられる方は、この鼻涙管狭窄症や鼻涙管閉塞症の可能性が高いです。涙管通水・通色素検査によって確認しますが、狭窄しているあるいは閉塞していることが明らかになると鼻涙管に特殊な針金(ブジー)を入れて、つまった部分を拡張します。多くの場合はこの治療で良くなりますが、改善しない場合には目から鼻までしばらくの間、特殊なチューブを入れておく治療や、鼻の骨に穴を開けてバイパスを造る治療を行うこともあります。

涙のうに炎症が起こると涙のう炎といって、膿が目の方に逆流して、結膜やまぶたにも炎症を起こすことがあります。

先天性鼻涙管閉塞症

赤ちゃんが生後間もなくからずっと涙と目やにが出る場合は、鼻涙管閉塞症のことが多いです。生まれつき鼻涙管の鼻への出口に膜が張っているために起こる疾患です。小児科などで処方された目薬をさしても治りません。涙の通り道を皮ふの上からマッサージすることで自然に治る赤ちゃんもいますが、生後3ヶ月頃までに改善しなければ上述した針金(ブジー)でこの膜を破ります。

赤ちゃんの涙点は小さいですし、泣いたり動いたりするので、涙管通水・通色素検査やブジーによる治療は難しいです。ブジーを涙点から鼻までに通すにはコツがあり、必ずしも一度で成功するとは限りませんが、当院ではこれまで数多くの症例を手掛けています(2006年4月1日から2009年8月31日までに先天性鼻涙管閉塞症で来院された患者さんは23名です。これより以前の数は記録していません)。


涙管通水・通色素検査を行って、鼻涙管が閉塞しているのを確認します。

ブジーⒶを涙点から鼻まで通します。

同じ長さのブジーⒷを並べて、ブジーⒶが鼻まで達していることを確認します。